Earthwatch プロジェクト, Chankillo, Casma Valley, Peru, 2001

場所 Casma市のChankillo という前インカ文明の遺跡。 Casmaはペルーの首都リマの400km北で太平洋岸に面している。人口4万で、 農業と・遺跡に依存する観光業が主要産業。
メンバー ペルー 11(リーダー1、考古学者6,肉体労働者4)、アメリカ7 (考古学者3、ボランティア4)、日本1。 他にも数人の肉体労働者が日中だけ雇われてた。 リーダーがプロジェクトを組織し、得られた成果は彼の研究に組み込まれる。 リーダーは、ペルーで助教授、Yale大(アメリカ)で博士取得見込。
言葉 スペイン語と英語。アースウォッチ関係者で言葉は副 次的要素という人もいる。しかし、意志疎通し、教え、教わり、経験を共有する ためにスペイン語か英語が流暢に話せる必要はあった。ところで、多くの地元人 はインカの言葉であるケチュア語も話す。
生活 ビーチにあるホテルに滞在。爽快な波音がいつも聴こえる。 4〜6人が1つのバンガローに滞在。個室かシェアかは運。 ホテルが夕食を用意。各バンガローには油の ランプ、水シャワー、よく壊れるトイレ がある。海に小便する方が楽で... 電気と電話はなく、水の供給も限られてる。何もないから周りは静か。
仕事 6:45から3:30まで。昼食45分。前インカ遺跡の発掘。 多くの構造物が崩壊してしまったものの、多くの石造りの柱・広場・塔が残存。 仕事場は砂漠の中だが、川と緑の近く。 毎日朝は涼しめで(冬だから)、昼近くに太陽が出てきて暑くなる(赤道に近い)。 時おり、午後に強風が来て厳しくなる。 どちらにしろ、砂とは一緒に仕事。 仕事はどのように進むかというと
1.測定・スケッチ・写真撮影
2.壁や構造物の崩壊と思われる大きな岩石を除去する
3.考古学者が、チームが注力すべきエリアを決定する
4.測定・スケッチ・写真撮影(写真参照)
5.柱や暖炉の跡などの手がかり を見つけるべく掘る。世に言う「発掘」(写真参照)
6.この段階で、砂糖キビの茎、木、骨、貝殻などが見つかる。それらは 分別・保存される。
7.ブラシがけをし、写真撮影に備える。
もっと深く掘ったり発掘エリアを変更する必要があったら、3に戻る。
3〜7を繰り返す中で、発掘エリアはよく変更される。 測定・スケッチ・写真撮影は時間がかかるが、頻繁に行われる。 「発掘」は、その定義からして繰り返せないから。 ボランティアは、この再生不能な進行状況を記録するために、 何でも気づいたことをノートにとる仕事がある。 もちろん、発掘で発見された構造物(柱、テラス、暖炉、壁、階段)や標本は、 前インカ人の生活や社会について推論するための重要な情報となる。
ボランティア 2〜3人のボランティアが、考古学者達が司る 1つのチーム(オペレーションと呼ばれる)に組み入れられる。 仕事は考古学者や労働者が教えてくれる。 仕事は...ハード。岩掘り、砂集め、岩・砂運搬、ブラッシング。 大変だけど、2週間で色々な構造物を発見した。 ボランティアはプロジェクトから何かを学び、技術や発想を提供し、返ってから 自分の経験を周りに伝えることを 期待されている。特に最後の点は重要。よりたくさんの人々が、このサイトやペ ルーの考古学全般に興味を持てば、ペルーの考古学や観光業の助けになり、 直接・間接にペルーの生活水準の向上につながる。
他の活動 Casma市街で遊ぶ、砂浜サッカー、パーティー、海水浴
食べ物 トラック運ちゃん食堂で、卵やツナの おいしいサンドイッチで朝飯。昼はビスケットとフルーツ。仕事場で簡素にすませる。 夕食は、ホテルが単調ながらおいしいペルー風を用意。コーンスープ、米、鶏肉、 牛肉、豆、紫トウモロコシジュース(Chicha)など。週末にはCasma のレストランで栄養補給!?

左:測定(段階4)、右:発掘してると、大きな岩陰に住んでる毒サソリに出会 うこともある(段階5)

遺跡で昼飯。いい眺め。

Excavation in Peru

6月30日
リマからCasmaへ。 運よく、ボランティアやスタッフはいい人達。おいしい Seviche(マリネード風味の海産物)で昼食。ペルーは日本同様 生魚を食べる国。ところで、警官が頻繁にストップをかけてきて時間を費す。 麻薬や武器の輸送を検査するためだが、テキトーにやってる。 ホテルの主人の弟が同行してて、いちいち降りて警官と巧みに話をしてくれて切 り抜ける。夕方、ついに太平洋に文字通り面してるホテルに到着。

7月2日
仕事初日。まだ暗い6時から積み込 み。仕事場である遺跡を、説明つきで軽く回ったあと発掘開始。 労働者と考古学者たちが親切にやり方を教えてくれる。ただ掘ればいいの ではない。考古学者の判断に従わなければならない。何を掘るか、何を残すか、 どこを掘るか、どれくらい深く、どれくらい丁寧にやるか。 チームとして効率的に働きたいし、発掘に伴う破壊は少なく抑えたい。 考古学者に必要な能力は、実地経験や本の知識よりも広い。 よい考古学者は、どのエリアでどういう構造物を相手に働くかを正確に決断し、 丁度いい人数を各サイトに割り当てて、メンバーに仕事を的確に指示し、 メンバーに仕事の意味を明確に伝えなければならない。もちろん、汚さや 長い間自宅から離れることにも耐えなければならない。我らがリーダーはセンス抜群。

7月4日
このキャンプ中最初にこけた人は みんなにビールをおごることになっていた。もちろん俺は自信満々で賭けに加 わる。こける可能性ゼロだし、万が一こけても仕事が大変なので誰も気づかないはず。 今日は独立記念日。工具と食料を運んで仕事へ。。。誰かが砂の上に転がった! みんな俺を見てる。違う、幻だああ。 仕事とスケジュールには慣れてきた。仕事は大変だけど、毎日速く過ぎるように感 じる。独立記念日の夜は、国旗・ビール・ハンバーガー付き特製ディナー・花火・ ・歌で祝う。飯にありつくためにアメリカ人のふりをする。 皮肉なことに、ホテルが特別に用意したハンバーガーが滞在中最低ランクの飯だっ たりする。ペルーの食はそれほど良いってこと。

7月7日
Casmaのディスコへ。地元の若者が暗いディスコで踊れや踊れ。 ディスコはペルーの代表的な夜遊び。

サッカー。ペルーでは盛んです。7年ぶりにやった。

7月10日
発掘は続く。岩や砂に埋もれている壁・床・柱を見つけようと頑張る。 力強く掘り、丁寧に磨く。大きな岩の陰に潜むかわいいイモリやサソリとも友達 になる。有毒だけど。風が出たせいで汚れと砂にまみれる。ゴーグルと軍手を はめたエイリアンマシーンだとか惨々言われる。違うのに。

厳しい風と砂のもとで働いた後のエイリアンマシーン。もちろん、笑いをとるた めに疲れたふりをしてるだけ。

7月12日
仕事最終日。さらにいくつかの柱 や暖炉跡を発見。2週間は速かった。今や、汚い衣服・ひもじい昼食・水シャワー にも馴染んでしまって気にならない。考古学と観光以外にも色々やった。ワイル ドな生活を体験し、素敵な人々と巡り会い、ペルー式・アメリカ式をたくさん学 んだ。 研究プロジェクト一般の話として、「メンバー」は研究の中心要素と見なされな いことが多い。特に理工学でその傾向がある。でも、ここではそうでない。リー ダーが深い識見と展望のもとでプロジェクトを組織するとともに、ここでの経験 をプロとだけではなく色々な人々と共有したいという思いがある。素敵な若手考 古学者たちが共鳴・協働していいチームができる。ボランティアは、新鮮さや考 古学者とは違うものの見方を持ってくる。リラックスした雰囲気の中で、みんな が自分の役目を果たそうという気になって、チーム全体の研究成果も上がること になる。理系研究者の自分は、こういう点からも学ぶことがたくさんあった。

オペレーション4のメンバー。総リーダー(右)、考古学者2人、労働者4人、 ボランティア3人。
ペルーはフジモリ前大統領の国。彼は現在は批判の的にさらされているが、アメ リカ人メンバーだけでなく ペルー人も日本に強い興味を持っていた。もちろん、普段は日本人に接 する機会も少ないのだろう。キャンプを通して(旅行全体でも)残念だったのは、 日本をうまく説明できなかったことだ。へぼい英語・スペイン語だけ のせいだけでなく、日本について知らなすぎた。特に、政治・宗教・歴史・茶や俳句 などの伝統文化は守備範囲外。でも、日本にもっと自信を持っていいし、 日本文化は自分の根底に横たわっている。次回までには日本を語れるようになる と誓ったのでした。交流のために、日本と自分を知るために。


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